北朝鮮にとって現実的な陸上での演習参加
こうした海上合同演習以外にも、中露は日本海や東シナ海において爆撃機などで共同飛行を行っている。防衛省が確認した中露両軍の共同飛行は2019年から始まった。統合幕僚監部によると、今年は6月6日と7日に共同飛行が行われている。
6月6日の共同飛行は、午前から午後にかけて、東シナ海から日本海に進出した中国の爆撃機(H-6)2機が、日本海においてロシアの爆撃機(Tu-95)2機と合流した後、東シナ海まで飛行した。また、当該爆撃機が東シナ海を共同飛行する際に、中国戦闘機2機が合流したことが確認されている。
6月7日の共同飛行は、午前から午後にかけて、中国の爆撃機(H-6)2機およびロシアの爆撃機(Tu-95)2機が中国方面から飛来し、太平洋にかけての長距離にわたる共同飛行を行った。当該爆撃機が沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に進出するまでの間、中国戦闘機4機が合流した。
このように、中露の軍用機が日本海、東シナ海、太平洋で共同飛行を行っているのだ。これらの飛行は、日本海と東シナ海からの在日米軍に対する攻撃を想定していると考えてよいだろう。
一方、陸上での演習として、中国軍とロシア軍は、テロ対策演習として2003 年8月に初めて合同演習を実施している。中露両国に加えてカザフスタン、キルギス、タジキスタンが参加したこの多国間演習は、カザフスタンと中国の新疆ウイグル自治区との国境付近で行われた。
最近では2022年9月に極東地域などで大規模軍事演習「ボストーク(東方)2022」が行われた。同演習は4年に一度行われる。演習は北方領土の国後島や択捉島やロシア東部の演習場、それに日本海・オホーツク海などで行われた。
同演習にはロシア、中国のほかに、アルジェリア、インド、ラオス、モンゴル、ニカラグア、シリアのほか、旧ソ連のアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンが参加し、140機の軍用機と5000以上の兵器が投入された。4年前の演習には軍用機1000機のほか、3万6000両の戦車や装甲車などが投入されていた。4年前より規模が縮小されたのはウクライナ戦争が影響しているものと見られる。
このような多国間演習には北朝鮮軍も参加することが可能だろう。この場合、士気が低く訓練不足の一般部隊ではなく、士気が高く訓練が行き届いている特殊部隊が参加することになるだろう。
中露朝の海上合同演習よりも、このような陸上での演習のほうが現実的かもしれない。