毎年行われている中露海軍合同演習の「狙い」

 北朝鮮が参加することになるかもしれない中露海軍の合同演習は毎年行われている。今年は7月初旬に上海沖、7月20日から23日まで「北部・連合2023」演習を中国北部や朝鮮半島方面などを担当する「北部戦区」が主催して行った。

最新鋭フリゲート艦を実戦配備したロシア(写真:AP/アフロ)

 同演習では、中国側はミサイル駆逐艦「チチハル」「貴陽」、ミサイルフリゲート「棗荘」「日照」、大型補給艦「太湖」の計5隻。ロシア側は太平洋艦隊の大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」、同「アドミラル・パンテレエフ」、汎用警備艦(フリゲート)「アルダー・ツィデンジャポフ」「ロア」の計4隻が参加した。軍艦の艦種の定義は曖昧だが、それらの性能は大方以下のとおりだ。

●巡洋艦:駆逐艦より大きく、航洋力、航続力に優れ、30ノット以上の高速で航行できる艦艇
●大型対潜艦:外洋で攻勢的な対潜水艦作戦を展開するための艦艇
●フリゲート:対空・対潜の装備をもち、哨戒や船団護衛などに従事する、高速で機動性をもつ駆逐艦や大型護衛艦。多くの海軍において主力となっている
●駆逐艦:防空力・対潜能力・水上打撃力となるミサイルや魚雷・爆雷などを搭載する比較的小型の快速艦
●コルベット:小型のため航続距離が短く、外洋における大波を超えていける能力が限られることが多い艦艇

2019年に行われた「中国海軍創設70周年 国際観艦式」(写真:ロイター/アフロ)

 中国国防部は同演習の目的を「海上戦略通路の安全維持」「両軍の戦略的協力レベルを引き上げ、安全保障上の挑戦への対処能力を高める」と説明しており、ロシア国防省も「アジア太平洋地域の安定と平和の維持」としている。

 同演習には双方の航空部隊から戦闘機、早期警戒機、輸送機、ヘリコプターなど30機以上が参加した。演習内容は対潜水艦作戦、海上での戦闘を想定した訓練のほか、船舶に対する海や空からの護衛、日本海における安定的な通信の確保、共同での砲撃訓練だった。

 なお、日本海では7月16日に、日米韓3カ国による北朝鮮などの弾道ミサイルに対する防衛訓練が行われた。