中露の軍用機が日本海に容易に展開できるようになる?
現在では考えられないことだが、1986年1月に米海軍と中国海軍が南シナ海で演習を行ったことがある。それだけでなく米海軍艦艇が中国の青島に寄港した。この寄港に関しては、当初の予定は上海だったのだが、より北朝鮮に近い青島に変更されたようだ。
こうした米中の接近に対抗するため、1986年7月、ソ連太平洋艦隊の空母「ミンスク」など3隻が北朝鮮東海岸の元山(ウォンサン)に入港し、ソ朝間の軍事協力関係を誇示した。同艦隊の総指揮官はシドロフ・ソ連太平洋艦隊司令官だった。
さらに、ソ連は1986年に元山のほか北朝鮮西海岸の南浦(ナムポ)にもソ連艦の寄港権を確保。また、北朝鮮上空のソ連軍爆撃機の横断が何度も行われた。この横断は1985年から始まったもので、北朝鮮上空を通過してベトナム・カムラン基地とソ連極東空軍基地間を往来するというものだった。
これらのソ連機は、飛行距離の節約にともないソ連独自の判断と目的に基づき、日本領空に頻繁に接近し、自衛隊のレーダー、通信傍受能力を「ほぼ定期的」にテストしていたといわれている。
このようなロシアと北朝鮮の関係が復活し、北朝鮮領空を通過することが出来れば、現在のように日本と韓国の領空に挟まれた対馬海峡を通過しなくても、中露の軍用機が日本海や東シナ海に展開することが容易になるだろう。