結婚生活は、現実、文化、無意識の3つがダイナミックにもつれあう
夫婦によって結ばれる関係は、およそ次の3つにわたります。
ひとつ目は現実的な面です。経済力が確保できる、心理的な安定を得られる、さびしさから抜け出せるなどがこれに属します。
ふたつ目は文化的な面で、ふたりの文化的な期待がどれほどぴったり合うかという問題です。
そして最後は心理的な面で、互いの無意識が衝突して、なんらかの結果を生み出すのではないかということです。
結婚生活は、この3つの面が複雑にもつれながら、かなりダイナミックなものになります。お互いに対する期待と失望、愛情と憎しみなど、あらゆる感情が絶え間なく混ざるからです。いつの間にか夫婦は心のうちをすべて見せ合うようになります。そして、本当になんでもないことなのにムキになってけんかをしたり、ほかの人には絶対に言わない致命的な言葉を投げつけたりします。
そんなけんかが終わると互いに大きな傷を負いますが、「ごめん、これからはちゃんとするよ」という一言で、すべてが解決します。
このような地獄と天国を行ったり来たりするプロセスはずっと繰り返されます。リチャード・スティールは「結婚とはわたしたちがこの世で経験できるもっとも完璧なイメージの天国と地獄だ」と言っています。
夫婦が喧嘩をしながら互いに幼稚で惨めな姿まで見せられるのは、そのくらい愛と信頼によって支えられている関係だからです。とんでもないことをしても、相手がわたしを愛しているから、最後には抱きしめてくれるだろうと信じているのです。
しかし、もしも信頼が失われた関係であるなら、話は違ってきます。
そういう場合のけんかは一時的なもので終わらず、相手に対する失望と憎しみによって破壊的な方向に突き進みます。そうなると、本当に結婚は愛の墓場になってしまいます。
ですから、結婚生活をうまく過ごそうとしたら、回復できないような傷を与えないように、互いを思いやり、尊重しなければいけません。
とくに信頼を損なったり、相手に深い傷を与えたりする言動は慎むべきです。
結婚自体が愛の墓場なのではなく、わたしたち自身の間違った言葉や行動が、結婚を一瞬にして愛の墓場にしてしまいかねないことを肝に銘じておきましょう。