「バンドマン=破天荒」のイメージが強いが
古くから付き合ってはいけない3Bの職業と言えば、美容師、バーテンダー、バンドマン。現在、80歳のミック・ジャガーは73歳の時、44歳年下の彼女との間に8人目の子どもを授かった。ちなみにひ孫と同い年。キース・リチャーズはドラッグ治療のために全身の血液を全部、交換したと噂される。実は同じグループにいながら、チャーリー・ワッツはブレイク前に結婚した奥さんと添い遂げ、家では家事も手伝っていたそうなのだが、どうしてもバンドマン=破天荒、家庭を顧みないというようなイメージがついて回る。
カップルとなると、さらに破滅的。シドとナンシー、カート・コバーンとコートニー・ラヴ、ジョンとヨーコですら別居していた時期もある。
そう思うと、出会ったことで自分たちの音楽が見つかり、日々、絆を深めていったシーナと鮎川誠ほど、奇跡的なカップルはいない。仕事と家庭、ロックと家庭の両立を果たした稀有な存在。ステージではスターとして輝き、ステージを下りると人格者として尊敬された。
今年1月に74歳で亡くなったロックミュージシャン、鮎川誠のドキュメンタリー『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ロックと家族の絆』。3月に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭で上映された「シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢」に未公開映像や家族とのプライベート映像などを加えて再編集したものである。
伝説的なブルース・ロック・バンド、サンハウスの一員としてデビューした鮎川。シーナはファンの一人だった。出会った翌朝から同棲を始めるほど、運命的な出会いを果たした二人はその後、双子を授かり、結婚。シーナの実家で居候していたが、シーナのお父さんから「勝負をかけて来い」と発破をかけられ、子供を実家に預けて二人で上京。シーナが「歌いたい」と声をあげ、シーナ&ロケッツの誕生となる。