アメニティのあるエコロジカルな都市を目指して
以上が拙論で指摘したことだが、全体として、このように規制が簡単に緩和される事態は、都市計画そのものを危うくしているように思われる。論理的には、都市計画不要論や土地利用規制全廃論に至るこの流れを、都市計画の研究者たちはどう見ているのだろうか。
中山氏の指摘通り、現在の「立地適正化計画」には問題点があるが、だからといって都市計画が不要だということにはならない。中山氏が提案する「市街地の質の向上」も、穂鷹氏が紹介している「スポンジシティ」も、自動的に実現するわけではなく、行政と市民が協力して計画的に進めていくことが必要である。
少なくとも、夏でも涼しく過ごせるアメニティ豊かな都市づくり、なおかつ人工物よりも樹木などのエコロジカルなメカニズムを利用した都市づくりが、21世紀の都市計画には求められている。
そのために植樹計画を進めることも大事だが、もっと簡単にできることがある。
それは既存の樹木や緑地を残すことである。