都市計画における「規制緩和」の問題点
順番が逆になるが、最後に拙論の内容を紹介する。
拙論では、横浜市の瀬上沢緑地において、開発事業が廃止になったという事例を取り上げた。その中で、横浜市が「市街化調整区域」(開発を抑制する区域)であったエリアを「市街化区域」に変更したことによってこの開発が可能になっていたことを問題視した。
このような変更が簡単にできるのであれば、そもそも「市街化調整区域」と「市街化区域」をエリア分けすることの意義が問われてくるだろう。
実は神宮外苑再開発の事例でも、同様の安易な規制緩和が行われていた。新宿区は、規制の厳しい「風致地区A地域」や「B地域」に指定されていたエリアを、規制の緩い「S地域」に変更することによって、風致地区の中に開発可能なエリアをつくってしまった。
しかし、そもそも風致地区というのは開発を抑制するためにつくったエリアであるので、風致地区の中に開発可能なエリアが存在するということ自体に矛盾がある。
このような規制緩和に関する疑問点は、国の「Park-PFI」や東京都の「公園まちづくり制度」にも存在する。両者は民間企業による土地の利活用を推進することを目的とする点で共通しているが、わざわざ「公園」として指定されたエリアを、普通の土地と同じように民間企業が利用できるのであれば、何のために「公園」という括りを設けたのかが分からなくなる。