日本とつながる人物も

 ランキングには、日本とつながりのある人物も登場する。

 8位のワイノ長官は日本通外交官出身で、日本語が堪能。在日ロシア大使館に勤務中の2000年に訪日したプーチン氏に目をかけられ、大統領府に移って要職に就いた。大統領府長官就任後も、しばしば日本をお忍びで旅行していたという。

 投稿はワイノ長官について、「『プリゴジンの乱』で多くのエリートが風向きを計算し、閉じこもる中、デューミン知事と同様、交渉で重要な役割を果たした。忠誠心や効果的な行動力を発揮し、地位が高まっている」「公務員人事や汚職防止部門で影響力を強めている」と評価した。

 9位のナルイシキン長官は、プーチン氏のKGB時代の後輩で、下院議長時代に日露文化交流の窓口役として何度も来日し、安倍晋三元首相らと会談した。昨年2月のウクライナ侵攻直前、テレビ中継されたクレムリンでの会議で、「交渉による解決」を訴えてプーチン氏の激しいパワハラに遭い、しどろもどろになった。実弟は日本たばこ産業(JT)の現地法人で働いていた。

 17位のトルトネフ副首相はロシア空手協会会長を務め、空手発祥の地、沖縄をしばしば訪れている。

 24位のオレグ・コジェミャコ沿海地方知事は雄雌の秋田犬を2頭飼い、秋田犬のブリーダーとしても知られる。前職はサハリン州知事だったが、反日派が大半の歴代知事と違って、日本に敬意を示していた。

ショイグ国防相が後退し、プリゴジン氏は「復活」

 後継候補上位の常連だったショイグ国防相は、ウクライナ侵攻の不手際や「プリゴジンの乱」で評価を落とし、13位に後退した。投稿は「ショイグは反乱の嵐を乗り越え、徐々に失地を回復しつつある。プーチンはショイグを見捨てなかったが、われわれはいずれ国防相の職を退かざるを得なくなるとみている」と伝えた。

 プーチン氏から「裏切者」呼ばわりされたプリゴジン氏は、7月に後継者ランキング30位の圏外に去ったが、8月は18位で復活した。

 投稿は「エリート集団の利害が複雑に絡み合う現在のシステムでは、プリゴジンを外すより、許した方の問題が少ないとの判断が働き、居場所を確保している」「プリゴジンは小さいながらも独立したエリート集団の長であり、無視できない。後継者になるチャンスは難しいだろうが、不可能ではない」と伝えた。

 記述が事実なら、「プリゴジンの乱」は政権内部でまだ決着しておらず、今後も波紋が続くことになる。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
ウクライナはNATOに加盟できるのか(上):ヴィリニュスの矛盾と誤解
世界に「3つの核超大国」が立つ時代――核廃絶と核抑止の二者択一をどう超えるか
憤り幻滅する「Z世代のアメリカ」(上)――同性カップルへのサービス拒否を「表現の自由」と認めた最高裁判決