- ここ最近、アウトロー系ユーチューバーたちによる私人逮捕の動画などがSNS上で増えている。
- 中には、私人逮捕の大義名分とともに、犯人に対して制圧行為をしたり、スマホを強引に奪ったりしている人間もいる。
- こうした行為は、法的に問題はないのだろうか。
(谷 龍哉:ネット情報アナリスト)
映画やドラマやアニメなどを見ると、非日常を描いていることもあり、暴力的な方法で一般市民が犯罪者に正義の鉄槌を下すシーンが多々あります。「犯罪者に対しては何をしてもええんや」という精神で主人公が正義の鉄拳をお見舞いする光景は、観ていてスカッとする人は多いんじゃないですかね。
これらはあくまでもフィクションの世界であり、現実で同じことをすれば逮捕されてしまう行為が多分に含まれています。ただ、こと「私人逮捕」に関しては、社会通念上許される範囲の暴力行為が認められております。
ここ最近、アウトロー系ユーチューバーたちによる私人逮捕の動画などがSNS上で目立ち始めており、見かけた人もいるのではないでしょうか。
刑法では、現行犯であれば誰でも逮捕できるとされており、現行犯での私人逮捕そのものに違法性はありません(注1)。
(注1)昭和二十三年法律第百三十一号 刑事訴訟法 第二百十三条(現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる)
これらのアウトロー系ユーチューバーは、たまたま私人逮捕をする場面を動画におさめているわけではなく、犯罪が多発していたり、犯罪が常習化していたりする場所へ行き、犯罪行為を見つけて私人逮捕をする様子を撮影しています。
テレビなら「良い子はマネしないでね」とテロップが差し込まれそうですが、そういった配慮をしていないようなので、良い子が真似しないか、心配な部分があります。
少し前まではタバコの喫煙禁止エリアでタバコを吸っている人を注意したり、ゴミ拾いしつつポイ捨てしている人を注意したりするユーチューバーがいる程度で、過激といえば炎上系が主流でした。
でも最近は、アウトロー系ユーチューバーが一歩踏み込んで盗撮や痴漢、マルチセミナーや怪しい勧誘などの犯罪行為をしている人たちを直接、私人逮捕する動画を投稿するようになってきました。
ここで特徴的なのが、私人逮捕の大義名分とともに、抵抗したり、逃げようとしたりする犯人に対して制圧行為をしている点です。