米財務省は23日、官民共同基金の設立を軸にした、金融機関保有の不良資産買い取りプログラムの詳細を発表した。事前に断片的に報じられていた内容に沿ったものだったが、米国では好意的な受け止めが大勢のようで、NYダウは前週末比+497.48ドルという今年最大の上げ幅を記録。終値は7775.86ドルになった。だが、筆者の感想を率直に述べると、「実効性は不透明で、この日の米国株は期待先行で上がり過ぎ」である。

 今回発表された不良債権買い取りスキーム「官民投資プログラム」は、ローン形態のものを対象にした「不良債権プログラム(The Legacy Loans Program)」と、住宅ローン担保証券(RMBS)や商業不動産ローン担保証券(CMBS)などの証券化商品を対象にした「不良債券プログラム(The Legacy Securities Program)」の2本立て。

 官民共同基金への出資に充てられる財務省投入の公的資金規模は750億~1000億ドルで、不良資産救済プログラム(TARP)の残額からの拠出になる。民間投資家は、政府と同額を出資。さらに、民間投資家が不良資産を買い取るための資金借り入れには、米連邦準備理事会(FRB)や米連邦預金保険公社(FDIC)が融資や保証提供の形で協力する(FRBはTALFの対象を拡大)。

 ローン形態のものについては、金融機関が売却する旨を申し出て、FDICが入札を実施することを通じて、買い取り価格が決まる。また、証券化商品については、市場の流動性が大幅に低下していることを勘案し、選定された最大5社のアセットマネジャーが買い取り価格設定など個別案件ごとの実務を取り仕切る。不良資産買い取りの総額としては当初5000億ドル、その後時間をかけて1兆ドルが想定されている。

 公的救済を受けた大手生保の高額ボーナス支給に米議会が強く反発して高率課税の立法措置に動いており(3月23日『日米財政出動の「虚と実」』)、これが民間資金の公的資金を用いたスキームへの参入を妨げるのではないかという懸念に配慮して、ガイトナー長官は、官民共同基金に参加する投資家には役員報酬制限を適用しないことを明言した。

 米財務省の発表資料には、次のようなくだりがある。