天災は今回の大雨だけでは終わらない
北京でこれほどの水害に見舞われたのは2012年7月21日午後から深夜にかけての集中豪雨による大水害以来だ。この時の集中豪雨は10時間以上続き過去60年間で最大の降水量が記録された。当時、79人の死者、直接経済損失100億元と公式発表された。だが今回の豪雨は67時間以上続き、降水量も記録を確認できる1883年以降最大で、2日朝までに744.8mmを記録した。被害の全容はまだ出ていないが、2012年7月を超える規模となるとみられている。
台風5号は北京に来る前に福建省で記録的な被害を引き起こしていた。泉州で体育館の屋根が吹き飛び、数十階の高層アパートが暴風によってゆがみ、倒壊した様子が報じられている。道路の自動車や街路樹が洪水に押し流され、橋などを破壊した。台風は厦門、泉州、福州を破壊し、浙江、江蘇、上海にも甚大な被害を出しながら移動し、亜熱帯低気圧になったのちも河北、北京を襲った。
今年は台風5号上陸前から中国各地で豪雨災害が発生しており、異様に水害の多い年と言われている。5月下旬は河南を中心に華中を豪雨が襲い、10年に一度の規模の「爛産雨」(小麦の収穫に甚大な被害をもたらす雨)といわれた。
また、異常高温が続く夏でもあり、北西部では気温50度超えがたびたび発生。広西チワン族自治区や江蘇省では暑さで養殖の魚や家畜の豚が大量死する事案も報告された。新疆北西部の高温と豪雨、雹に襲われ小麦生産に大規模被害をもたらした。
今年は世界的な異常気象であり、こうした天災被害は何も中国に限ったことではない。だが昨年の河南省の7月21日の大水害といい近年、中国で大規模水害が頻発していることについては「人災」を指摘する人も多い。