習近平政権は内部から瓦解し始めたのか

 特に軍人は、戦争になれば自分や自分の部下たちが死のリスクを負うわけだから、勇ましいことを口で言っても戦争回避を望んでいる。だが、今は習近平の意向で、米中の国防相同士が会談をすることすら許されない。

 台湾武力統一反対を頑強に言い続けてきた解放軍の戦略家、劉亜洲上将が2021年暮れに失踪し、今年になって秘密裏に執行猶予付き死刑判決が下されたという噂が流れた。習近平は口を開けば、戦争準備を呼び掛けている。そういう中で、非公式に米国側と接触して情報交換しようとした官僚や軍幹部がスパイを疑われることは十分あり得る。

 あるいは、習近平外交の危うさを見れば、中国の未来に絶望して、情報を手土産に米国への亡命を考える中国官僚や軍人が増えるのも当然ともいえるかもしれない。

 問題は、こうした習近平外交のつけとして、大量の優秀な外交官や軍人が粛清され続けた結果、現場が深刻な人材不足に陥り、ますます習近平の言いなりの無能で危うい現場によって対米関係が進んでしまうということだ。秦剛外相解任もロケット軍粛清問題も、単発、一過性の事件というより習近平体制内部の瓦解が加速しているということのあらわれではないだろうか。