(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年7月17日付)

「米国例外主義」の話題性が大きくなる一方だ。
その他の先進国、そして足元が揺らぐ中国と比較した場合の米国の経済と市場の強さが、これに拍車をかけている。
だが、この自信に満ちた語り口は、米国の成長が今、赤字と債務に依存している度合いを見落としている。
こうした指標に基づくと、米国は悪い意味で例外的なように見え始めている。
かつては典型的な先進国だった米国は、今では先進国世界で最大の赤字支出国になった。
新型コロナウイルスのパンデミック中に米国の財政赤字は3倍に膨らみ、国内総生産(GDP)比10%を超え、他の先進国のピーク時の水準の2倍以上に上っている。
今後数年間、米国の赤字は平均でGDP比6%近くになると見られている。米国の歴史的な標準を大きく上回り、他の先進国の平均の丸々6倍の水準になる。
バイデン政権の新ニューディール政策のツケ
米国は一体どうして、これほどの赤字に陥ったのか。
大半の国はパンデミック対策のロックダウン(都市封鎖)の痛みを和らげるために立ち上げた支出プログラムを打ち切った。
だが、バイデン政権による総額6.7兆ドルの新規支出はすべて、2020年が過ぎ去った後に実施された。その大半はパンデミック対策とは何の関係もなかった。