(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年7月10日付)

英国の野党・労働党が世論調査で大きくリードし、次の総選挙で勝ちそうな勢いを見せている。
その理由の大部分は、保守党政権下の英国の経済的な実績が悲惨だったことだ。だが、労働党はこの状況を覆せるのだろうか。
ある程度の改善は間違いなく可能だ。だが、どんな政権であれ、次の英国政府が直面する巨大な課題を認識しておくことが肝心だ。
あまりにひどい事態になったため、今後は上向くしかないと主張したくなるかもしれない。
悲しいかな、それは想像力が欠如しているというものだ。
数々の難題を生む経済停滞
状況がひどく悪化したことには疑いの余地がない。2023年4月の平均実質賃金(週次)は、2007年8月と同じ水準だった。
調査会社カンファレンス・ボードによると、被雇用者1人当たりの国内総生産(GDP、購買力平価ベース)は2007年には米国のレベルの81%だったが、2021年には68%まで低下していた。
これは主要7カ国(G7)で2番目に大きな相対的転落で、英国より悪いのはイタリアだけだ。
英レゾリューション財団の昨年の報告書は英国を「スタグネーション・ネーション(停滞国家)」と描写している。これに真剣に異議を唱えられる人は誰もいないだろう。
経済的な停滞はすべてを難しくする。