多くの山岳土木の先端技術が、百花繚乱競い合うがごとく展開する葛野川水力建設所は、現在発注企業者東京電力のもと大手ゼネコン21社が参画するビッグプロジェクトである。その現場の第一印象は、“騒音と砂煙に満ちた活気ある現場”というより、“粛々と進む自信に満ちた建設現場”であった。全10工区に分割された各工区での担当者の知恵と熱意に裏打ちされたものであろうが、私のような来訪者にとっては、信頼感と力強さがみなぎる建設現場であり、2000人におよぶ工事関係者が一体となった、まさしくフォアザチームの成せる技だ」

写真10 地下発電所本体掘削の工事状況。ジャンボ機が3台は収まるという巨大地下空洞の掘削が、地表下500mで進められていた
写真11 取水口軀体コンクリートの工事状況。鉄筋コンクリート製の取水口軀体もその威容を現しつつあった
写真12 下部ダム(後の葛野川ダム)の下流側から見た建設状況。高さ105m、堤体積62万m3の重力式コンクリートダムで、RCD工法(振動ローラによるノースランプコンクリートの締固め工法)を採用している