米国のイエレン財務長官が6日から4日間の日程で訪中し、米中ともに両国経済のデカップリングを望まないという立場を表明した。だが、双方とも何らかの譲歩を示したという報道はない。おそらく具体的な米中半導体戦争や貿易戦争の緊張緩和につながる話し合いはなかったのだろう。
中国は8月1日から、米国による対中半導体制裁への対抗処置として半導体材料であるガリウム、ゲルマニウムの輸出管理規制もおそらくこのまま実施される。
では、このイエレン訪中は無駄足だったのか? その成果と意義について考えてみたい。
(福島 香織:ジャーナリスト)
イエレンの訪中は、バイデン政権の財務長官として初めてだった。滞在は4日間に及び、合計10時間以上にわたって猛烈な勢いで中国要人と会談した。7日に李強首相、劉鶴元副首相、易綱・人民銀行総裁、そして7月1日に人民銀行書記に就任し、次期総裁にも就任するとみられる潘功勝・副総裁と相次ぎ会談。人民銀行・元総裁の周小川とは晩餐会で意見交換した。8日には何立峰副首相と5時間も会談し、ともに晩餐会にも出席した。
民間人との交流も積極的に行った。6日に在中米国企業との円卓会議を行い、8日昼には中国人女性エコノミストや若手研究者ら9人とともにランチを兼ねた討論会を行った、とにかくエネルギッシュに人と会い、意見交換していったのだった。