7月1日付の朝日新聞朝刊一面トップにはこんな見出しが躍っていた。
<海外パビリオン、建設申請「ゼロ」 開幕間に合わぬ恐れ、政府が対策へ 25年の大阪・関西万博>
大阪万博は大丈夫か?
記事のリードはこんな風に記載されている。
<2025年大阪・関西万博をめぐり、参加する国や地域が建てるパビリオン建設で必要な申請が、大阪市に1件も提出されていないことがわかった。人手不足が深刻化する建設会社と契約が進まないことが背景にある>
153の国や地域が参加する予定になっている大阪万博の海外パビリオンの建設申請が1件もされていないという記事であるが、「その理由は万博協会側にもある」と指摘するのは今回の万博に参加する予定の欧州の数カ国とパビリオンのコーディネート契約をしているA氏である。
A氏は70年の大阪万博や愛知の愛・地球博、さらに海外の万博でも仕事をしているので国際万博の事情に精通している。
「こうなることは昨年暮れあたりから危惧されていました。とにかく司令塔になる万博協会の手際が悪すぎて、会議になっても『回答は1カ月後です』というのが常套句ですから呆れるばかりです。それもこれも協会がいろいろな省庁から派遣されてきた寄せ集め所帯で、責任感はゼロだから。2025年の万博が終わったら省庁に戻る者が熱意をもって仕事をしているとは到底感じられません。担当の係員から『わずか半年のイベントですからねえ』と打ち明けられたのにはショックを受けました。こんな感覚でやっている協会が上手くいくはずがありません」
「6月にも大阪万博について契約している国のスタッフたちを連れて、現場を視察したいと申し込んだんです。会場となる夢洲のパビリオン建設予定地にまだ入ったことがなかったからです。そこでパビリオン建設の責任者もわざわざ来日してくれていたのに、協会側からは『混乱するから』という理由で断られました。
通常の万博では会場のパビリオン建設予定地には杭などの印があって『○○国パビリオン建設予定地』などと告知されています。しかし大阪ではそんなことはしないで、『渡してある書類図面に記載されていますからそれでご理解下さい』と言われるだけでした」