もともと「個人番号」は、最初、民主党が手を付けたものらしい。ウィキペディアによって整理してみる。

 2011年(平成23年)菅直人内閣のとき、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」と「社会保障・税番号大綱」が決定した。

 2012年(平成24年)野田佳彦内閣で「マイナンバー関連3法案」を第180回国会に提出したが、11月16日衆議院解散により廃案となった。

 その構想が実際に動き出したのは、2021年(令和3年)菅義偉内閣のときである。「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立した。この中で、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」も改正された。

 マイナンバー構想にはふたつの柱がある。①「マイナンバーを活用した情報連携の拡大等による行政手続の効率化」と、②「マイナンバーカードの利便性の抜本的向上」である。

 いまトラブルが続出して問題になっているのは②の「マイナンバーカードの利便性」の部分である。しかし国にとって、こんなことはどうでもいいのではないか。少なくともたいした問題ではないが、選挙に直結するから無視もできない。

公共事業に群がって儲けているヤツがいる

 しかし、ほんとうに重要なのは「情報連携の拡大等による行政手続の効率化」の部分だと思われる。ただ、そこでどんなことが具体的に行われているのかわれわれにはわからない。利便性のトラブルをよそに、その部分だけは着々と進行しているのではないか。それともそれは考えすぎで、そんな深謀遠慮は現在の日本にはありえないか。

 マイナンバーカード事業に関して、その事業主体である「デジタル庁」の抱える問題と、マイナンバーカードの発行事業を一手に担い、マイナンバー事業の「“中核”組織」ともいわれる「J-LIS」(地方公共団体情報システム機構)の問題を抉りだした「マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で『デタラメカード』が発行される問題も…役所の担当者は『上司が急かすから』」(デイリー新潮、2023年7月5日)という記事が有益である。

 ここで内容を紹介する余裕がないのが残念だが、それを読むと、東北大震災復興事業やオリンピックやコロナ補助金とおなじで、巨額の金が動く公共事業に群がって、だれが儲けているのかがだいたいわかる(詳しくは、内部告発がないかぎり、わからない)。

 わたしがはじめてマイナンバーカードをみたのは去年の初頭だったころか。世間でなんの話題にもなっていないのに、早々とわたしの弟が手に入れたのである。

 見て驚いた。あまりにもちゃちなのだ。新紙幣の発行には持てる技術の粋を盛り込むのに、こっちのカードはまるでやる気なしである。こんな代物をわれわれは一生涯使うのか(と思っていたら、有効期限は2030年までだった)。いったいだれがデザインしたんだ? 以前持っていた出版健保の保険証のほうがよっぽど格調高かったぞ。

 しかし、そんなにバカにしていたくせに、わたしは去年、5000円相当の「マイナポイント」に釣られて作ってしまった。笑ってください。もうバカにしてるもんだから、写真なんかテキトー。ポイントでPASMO(交通系ICカード)を補充しようと思っていたら、すでに終わっていたので、しょうがなくセブンイレブンで1000円使った。ところがこれがめんどうで、結局使ったのはそれだけ。