それにこの先もそんなに長くはない。ましてや受注量が劇的に増えることなどないし(万一、増えたとしても請け負えない)、多額の消費税が発生する事態なども見込めそうにない。反対に受注がゼロになってもそれはそれでしかたがない。もう数年前からすでに想定していたことである。

 それに課税事業者になるには今年(2023年)3月末までの申請が必要だったが、もう遅い。とっくに期限は過ぎている、と思ったら、申請の数が思ったほど上がらず、締め切り期限を9月末まで延長したらしい。なんだそれ? 役人たちは自分たちに都合の悪いことになると、朝令暮改など朝飯前なのだ。そんなことばっかりやっている。

 しかもインボイス制度がスタートするのは今年の10月1日からだが、ほんとうに制度がスタートするのは2029年10月からということらしい。それまでの6年は80%、50%の控除可能という経過措置がある。もうすでに及び腰ではないか。

 結局、役人(国)にも発注者にも受注者にとっても、だれの利益にもならない政策である。発注者と受注者に無駄な時間と労力とカネを使わせ、無用な混乱を引き起こしているだけである。

使いみちの一番が「マイナポイント」とは情けない

 マイナンバーカードもまた不祥事に見舞われ、すっかり信頼性を失っている。

 銀行口座や保険証とを関係づけようとしたとき、多くの誤りが生じた。本人ではなく家族名義の口座を登録したり、他人口座を誤登録したり、別人の医療情報が紐付けられたり、コンビニで交付する証明書で間違ったものが発行されたりしている。

 泡をくった河野太郎デジタル相がマイナンバーカードの名称変更に言及したり、マイナンバーカードの自主返納をする人が現れたりしている。

 そもそもマイナンバー制度とはなんのために作られたのか。

 総務省のHPには「マイナンバー制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です」とある。その使いみちとして、一番に「マイナポイントがもらえる!」とあるのが情けない。それは使いみちじゃなくて、マイナンバーカードを普及させるためのエサではないか。

総務省のWebサイト「マイナンバーカード」より

 つづいて「本人確認書類になる!」「各種証明書をコンビニで取得できる!」「転出届がオンラインでできる!」「e-Taxももっと簡単・便利に!」などとあるが、これだけである。全然たいしたことはないし、うれしくもなんともない。マイナンバーなどなくても、現行のままでなんの問題もないのだ。