家賃が高くても満室稼働が続く三井ホーム「MOCXION稲城」

 環境問題への意識の高まりから、木造マンションに関心を持つ消費者も増えているという。周辺相場に比べて分譲マンションの価格や賃貸住宅の賃料が若干高くなったとしても、環境問題への貢献度の高い木造マンションを選びたいという人が増えているのだ。

 たとえば、野村不動産が2021年3月に竣工した「プラウド神田駿河台(東京・神田)」は、12階~14階でCLT耐震壁と耐火集成材を使用しており、わが国初となる14階建ての木造ハイブリッド高層分譲マンションだ。

 同マンションは60年の定期借地権付で、坪単価は500万円台から700万円台と高額物件だったが、予定通りに完売した。地球環境にやさしいマンションに住みたいという人が購入に動いたといわれている。

 また、木造マンションがアパートではなくマンションと表記できるようになったため、大手ハウスメーカーも木造賃貸住宅の分野に注力している。

 特に力を入れているのが、2×4住宅をメインとする三井ホームだ。木造住宅のメーカーとして、「木」に関する豊富な知見を有しているだけでなく、三井不動産グループが北海道を中心に広大な森林資源を持っているという強みもある。

 三井ホームが手掛ける木造マンションの第1弾は、2021年11月に竣工した総戸数51戸の賃貸住宅「MOCXION(モクシオン)稲城」(東京都稲城市)だ。

 全住戸50m2以上の2LDKで、賃料は共益費込みで13万円~となっている。稲城市の賃貸相場からみるとやや高めの設定だが、2023年6月現在、満室で稼働しており、空きが出てもすぐに入居者が決まる人気物件となっている。

 続いて同社は今年5月に「MOCXION(モクシオン)四谷三丁目」(東京都新宿区)を竣工。総戸数16戸の賃貸住宅で、専有面積は21m2台から31m2台。家賃は21m2台が10万4000円、30m2台が14万6000円などとなっており、ここも高めの設定になっている。

 それでも、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など地球環境にやさしい仕様や新築の賃貸住宅としては希少なペット可などの対応策を盛り込んでいるため、三井ホームでは「竣工から半年程度で満室にできるではないか」と話している。