「ライン渓谷中流上部」として2002年に文化遺産に登録されたエリアは、美しい古城が立ち並びます。古城のいくつかは泊まることができ、おすすめはドイツで最も美しいといわれるユースホステル「シュターレック城」です。

取材・文=杉江真理子 取材協力=春燈社 写真提供=ドイツ観光局

美しい景色が広がるライン渓谷中流上部 ©GNTB/Rheintouristik Tal der Loreley, St. Goar/ Mahlow Media,Winningen

ロマンティック・ラインの古城群

 ヨーロッパの大動脈ともいえるライン川は、スイスアルプスを源として、ドイツを流れてオランダで北海に注いでいます。

 ドイツ西部の中流地方、ラインラント=プファルツ州の都市コブレンツとビンゲン・アム・ラインの間の約65キロメートルにおよぶ「ライン渓谷中流上部」が、世界遺産に登録されている地域です。地理学や歴史、文化、産業など、さまざまな要因が複合して独特の景観を作りだし、渓谷に美しい古城が立ち並ぶ景観で知られています。

 ライン川は先史時代から交易の重要な通路で、川辺には多くの城塞が作られました。そのため渓谷には今も古城や古い町並み、聖堂や修道院といった中世以来の景観が残されているのです。

「ロマンティック・ライン」の名で知られる古城群には、30を超える古城があります。どれも19~20世紀に再建されたもので、かつての城塞はみな、ナポレオン率いるフランス軍の侵攻により破壊され、後にドイツ統一を果たしたプロシアの手で甦りました。

 この地域には泊まることのできる古城がいくつかあります。オーバーヴェーゼルを見下ろす丘の上にある古城シェーンブルク城(ブルクホテル アウフ シェーンブルク)は、ドイツでもっとも美しい城のひとつといわれている古城ホテルで、『レ・ミゼラブル』の著者ヴィクトル・ユーゴーが、「もっとも美しい廃虚」と称えたことで知られています。クラシカルな造りですが、快適で食事も充実しています。

人気の古城ホテル・シェーンブルク城 ©GNTB/Rheintouristik Tal der Loreley, St. Goar/ Mahlow Media,Winningen

 また、13世紀に建てられた要塞を改修した古城ホテル「ロマンティック ホテル シュロス ラインフェルス」は歴史を感じる造りですが、スパやプール、サウナなど最新設備が充実しています。

要塞を改修した古城ホテル「ロマンティック ホテル シュロス ラインフェルス」 ©GNTB/Rheintouristik Tal der Loreley, St. Goar/ Mahlow Media,Winningen