バッハラッハの古城ユースホステル
今回、とくにおすすめしたいのが、ライン川下りで一際目をひく美しい景観の小さな村バッハラッハです。葡萄畑に囲まれた緑の谷に木組み造りの家々、雰囲気のある教会の廃墟といった中世以来の村は、ローマ帝国の時代より葡萄酒の名産地として人々に愛されていました。
上質の葡萄酒によって栄えた村の名前の由来は、ローマ神話のワインの神「バッカス」からきています。ちなみにライン川下りでバッハラッハのすぐ先には、有名な岩山「ローレライ」があります。
川幅が急に狭まり流れが速くなる急カーブにあり、船がたびたび座礁や沈没事故を起こしたことから、船の船頭が金色の櫛を持った美しい少女の歌に魅せられると、船が渦の中に飲み込まれてしまうというローレライ伝説が生まれた場所です。
葡萄畑に囲まれた村の丘の上の建つ古城は11~12世紀建造のシュターレック城です。ケルン大司教領の拠点として築かれ、かつては王家の婚礼も行われたお城ですが、プファルツ継承戦争(1688~1697年)の際にフランス軍によって破壊されてしまいました。1925年から1927年にかけて復元され、現在はドイツで最も美しいといわれるユースホステルになっています。
青少年の旅行活動を振興するために設けられた国際的な宿泊施設であるユースホステルは、20世紀初頭、ドイツの R.シルマンによって提唱され、ヨーロッパ各国から世界に広がりました。そのため、ドイツ人はユースホステルに誇りを持っています。
お城に泊まるとなると気構えてしまうかもしれませんが、シュターレック城は若者だけに限らず誰でも気軽に泊まることができ、最も安いときには1泊20ユーロくらい。部屋は本館、別館、塔に分かれ、ドミトリー(大部屋)だけでなく、家族向けの個室や、2人部屋などもあります。兵舎だった時代を感じさせるコンパクトな空間ですが清潔感があり、ドライヤーやタオルなども用意されています。
また、ユースホステルには珍しく、お酒も飲めます。名産のワインをリーズナブルな価格で飲めるのも魅力です。
最寄り駅のバッハラッハからシュターレック城までは険しい山道を15分ほど登ります。キャリーバックを持ったまま行くのは難しいので、事前にホステルに頼んでタクシーを予約しましょう。