「F-16戦闘機連合」にいち早く名乗りをあげたイギリスの思惑

【ユーロファイター・タイフーン】

 英独伊西のNATO4カ国が1990年代に共同開発した比較的新しい双発機で、全長約16m、最大離陸重量約23トン、最大速度マッハ2.3、爆弾搭載量約9トンの比較的大きな機体。デルタ翼と操縦席付近に小さな前翼(カナード翼)をつけた特徴的なフォルムで、4カ国で500機以上装備するほか、オーストリアや中東各国など5カ国に200機ほど輸出している。

米空軍のB-52爆撃機(上)と訓練を行う英空軍のタイフーン(写真:英空軍サイトより)

 注目は「F-16戦闘機連合」にいち早く名乗りをあげたイギリスの動きで、実はこの国もF-16を持っていない。フランスと同様、「訓練」を入り口にして、タイフーンのパイロット養成と機体の提供、そして将来は大型受注といった具合にビジネス拡大につなげようという抜け目ない戦略を忍ばせているのではないかと勘繰る向きもある。

【サーブ39グリペン】

 NATO入りを目指し、ウクライナ支援にも積極的なスウェーデンの独自開発で、本国が約100機備えるほか、NATO加盟国のチェコとハンガリーがそれぞれ十数機採用、現在7カ国で300機ほどが活躍する。初飛行は1980年代後半で全長15m、最大速度マッハ2.0、最大離陸重量約17トン、爆弾搭載量約6.5トンの小型軽量機で、デルタ翼とカナード翼を合わせた姿が印象的。

スウェーデン空軍のグリペン(写真:スウェーデン空軍サイトより)

 今年5月にスウェーデン国防大臣が供与を否定したが、「要請があれば訓練を検討する用意はある」と含みのある回答を行ったため、一部では「本音は供与したいのでは」と指摘する専門家も少なくない。

 このように、F-16供与の事実上の解禁を引き金に、早くも「二番手」「三番手」の候補機も下馬評に上り出したが、戦闘機の「二本立て」「三本立て」にはパイロットの確保や訓練、ロジスティクスや整備部隊の新編など、クリアすべき難題が立ちはだかる。

 ちなみに、「F-16供与が解禁されても、ウクライナ人パイロットの訓練には最低数カ月は必要で、出撃は秋以降になるのでは」と一部メディアは推測するが、将来の出番を予測し、すでに1年以上前から極秘に訓練は行なわれているはず、と見るのが軍事の常識だ。

 いざとなれば、欧米の退役パイロットや、いったん軍籍を離れ、あくまでも個人的に志願したという立て付けで百戦錬磨の人材が義勇軍を結成し、ウクライナに送られたF-16に乗り込む可能性も非常に高い。朝鮮戦争(1950~1953年)では北朝鮮空軍のミグ戦闘機にソ連人パイロットが義勇兵として乗り込んで米軍機を悩ませたという例もある。

 F-16の供与を皮切りに「空の戦い」に突入しそうなウクライナ情勢。商魂すら見え隠れする各国の思惑が、早くもウクライナ上空で渦巻いているようだ。