2023年に入り、突如としてブームを巻き起こした生成人工知能(AI)。テクノロジー大手がこの分野で遅れを取るまいと、開発競争を急いでいる。だがここに1社だけ、参加していない大手がある。米アップルである。
グーグル、MS、アマゾン、メタの動き
米グーグルは23年5月10日に開いた年次開発者会議「Google I/O」で、生成AI機能を搭載した検索エンジン「Search Generative Experience(SGE)」を披露し、加えて、生成AIサービス「Bard(バード)」を一般公開した。
米マイクロソフトは出資する米オープンAIが開発した大規模言語モデル(LLM)を検索エンジン「Bing(ビング)」や業務用ソフト群「Microsoft 365」に取り入れた。米アマゾン・ドット・コムは、生成AIシステムの基盤モデルとなる「Amazon Bedrock(ベッドロック)」を発表したほか、AIアシスタント「Alexa(アレクサ)」のLLM「Alexa Teacher Model」を構築したと報じられている。
米シーネットによれば、米メタは23年2月、オープンAIの「ChatGPT」やグーグルのBardと同様に高度な言語能力を持つLLMをオープンソースソフトウエアとして公開した。
アップルの「様子見アプローチ」
一方で、アップルは長年、AI研究に力を入れているが、今のところ生成AIについては何も発表していない。それは、同社が新しい技術に対し「様子見アプローチ」を取る企業だからだという。
例えば同社の「iPad」は史上初のタブレット端末ではなかったが、今では多くの人にとって信頼度の高いタブレット端末として普及している。ハードウエアの例としては、折り畳み式スマートフォンがある。グーグルは前述した開発者会議で同社初の折り畳み式スマホ「Pixel Fold(ピクセルフォールド)」を発表した。アップルについても折り畳み式を開発しているとのうわさがあるものの、まだ製品化は実現していない。ただ、「iPhone Flip」と呼ばれる折り畳みiPhoneが25年にも市場投入されるとの観測は流れている。