ソウルの地下鉄では降りる前に人が乗ってくる(写真:アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

「ママ、幼稚園に行きたくない」

 幼稚園の年長になった娘が、朝から駄々をこねた。今までこんなことはなかった。

 生後19カ月から毎日ウキウキ保育園に通い、諸都合で2回も通園先が変わったが本人はへっちゃら。誰に似たのか、世界中どこに行っても生き残れるだろうと思うくらい気が強い。高校生の長男にも果敢に戦いを挑む、怖いもの知らずである。

 そして常に、自分が一番前のポジションを取りたがる。筆者が子供の頃に夢中になったゲーム、ドラクエⅣには女性の勇者がいた。30年以上の年月が流れ、海を渡って、今になって思う。あれはまさしくこの子のことだったんだなと。

 韓国人は、とにかく自分が第一ポジションを取りたがる。それはセンターを争うアイドルだけの話ではなく、一般市民の日常の至るところに垣間見える。

 まず、人の前を横切るのだ。日本人にはありえないこの行動を、韓国人は堂々とナチュラルに行う。自分が通る道は自分のもので、そこに先客がいるとか、誰かが歩いているとかは、全く関係ない。

 退くのでは自分ではなく、相手である。自分ではない誰かが、自分に気を使えばいいのだ。

 その話を面と向かって彼らに話すと、必ず否定するが、こちらには確固たる証拠がある。