韓国・ソウルの街並み(出所:Pixabay)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 どうも不思議で仕方がない。韓国社会は日本に何を期待しているのだろうか。

 尹錫悦政権が打ち出した強制徴用問題解決案への日本の対応に誠意がないという報道で、現地メディアが賑わっている。これを立て続けに見せられた私は、韓国がそんなに日本との関係が重要だと思っていたのかと、改めて驚いた。

 在韓18年になるが、その3分の2にあたる12年もの間、日韓関係が悪かったものだから、「日韓関係は悪くて当然」と思うようになってしまったのだろう。

経済面の魅力が薄れていく韓国

 そういえば、「日本が韓国をホワイト国から除外したのは幸いだった」と文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)が誇らしく語っていたのを思い出す。これを契機に韓国経済は半導体材料をはじめとする輸入品目について日本依存から脱却し、基礎力をつけたと宣言したのだ。

 でも、それはどうやら内実を伴っていなかったらしい。この冬にドイツを訪ねて電化製品売り場を覗いてみたら、かつてそこを席巻していたサムスンの製品がほとんど姿を消していたのだ。現地の人に聞いてみたところ「そういえば、最近、売り場で見なくなったねぇ」と話していた。その後、今年第1四半期のサムスンの営業利益が96%減というニュースが衝撃的に報じられた。半導体不況が直撃したという。