FOX商品の破損だけは避けたかった
予定通り、大陪審がスタートすれば、こうしたマードック・ビジネスの全貌があからさまなるのは必至だ。
訴訟問題の専門家、マーク・ハーマン氏はこう分析している。
「FOXニュースにとって公判が何か月も続くこと自体ダメージになる。私は、水面下で和解交渉がすでに始まっていると見ていた」
「FOXニュースにとっては3億、4億ドルでケリがつけば御の字だ」(額はその2倍になったが・・・)
「困るのは、延々と続く公判でルパート・マードック氏やポール・ライアン取締役会長(元下院議長)らが証言台に立たされること」
「自惚れの強い(Muckety-muchs)人気キャスターのタッカー・カールソン、ショーン・ハニティ各氏ら『FOXニュースの顔』が法廷で詰問されるとなると、これはまさに『世紀の裁判』(Trial of Century) になる」
「FOXの商品に傷がつく。これだけはどうしても避けたいはずだ」
(‘Lachlan’s in the mire’: Fox News case spells trouble for Murdoch heir | Lachlan Murdoch | The Guardian)
こう見てくると、今回の示談はなるべくしてなったと言えそうだ。
とはいえ、FOXにとっては、一難去ってまた一難。
公判日程はまだ決まっていないが、FOXはもう一つの投票集計システム会社スマートマティック社(Smartmatic)からも27億ドルの損害賠償を求める名誉毀損訴訟を起こされている。
同社は投票集計システムだけでなく、他業種でも幅広いビジネス活動を展開しており、年間収益は1億5160万ドル。FOXにとっては手ごわい相手だ。