トランプ前大統領と談笑するFOXニュースの看板キャスター、タッカー・カールソン氏（左、2022年7月31日、写真：ロイター/アフロ）

誤報に対して視聴者に謝罪せず

 　2020年の米大統領選で投票の集計結果を不正に操作したとのFOXニュース報道で名誉を毀損された――。

　投票集計システムを手がけるドミニオン・ボーティング・システムズがFOXコーポレーションに損害賠償を求めていた訴訟で、公判開始直前、7億8750万ドル（約1058億円）をFOXが支払うことで示談が成立した。

「公器」である米メディアによる和解金としては過去最大規模だ。一口に7億ドルというが、これがどれだけのカネか。

　卑近な例としてメジャーで活躍するスーパースター、大谷翔平選手のFA契約金がメジャー史上最高額の6億ドル（推定）に跳ね上がっている。

（Should Red Sox offer Shohei Ohtani a $600M contract next offseason? - NBC Sports Boston）

　FOXへの訴訟で一躍有名なったドミニオン社だが、年間収益は1750万ドル。今回受け取る和解金はその45倍だ。

（Dominion Voting Systems Revenue: Annual, Quarterly, and Historic - Zippia）

　FOXの年間収益は29億6000万ドル。今回支払う和解金はこの4分の1ということになる。

　もっともFOXは和解金を支払える潤沢な手元資金を保有している。

　ルパート・マードック氏の長男のラクラン・マードックCEO（最高経営責任者）は2023年2月、同社の手元資金は約40億ドルだと説明している。