4月5日の対マリナーズ戦に3番投手兼DHで出場したエンゼルスの大谷翔平(写真:AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 侍ジャパンがWBC王座を奪還した興奮も冷めやらぬまま、開幕した米国のメジャーリーグ(MLB)と日本のプロ野球(NPB)。

 MLBでは、今シーズンから「ピッチクロック」のルールが導入されている。

試合時間が長くなると「野球離れ」が起きる?

 エンゼルスの大谷翔平が「3番DH兼投手」の「二刀流」で出場した、今月5日のマリナーズ戦では、投手と打者の両方で「ピッチクロック」の違反を取られて、日本でもニュースになった。ひとつの試合で投手と打者で違反した史上初の選手だ、と現地の実況が囃し立て、おそらくは今後もそんなことができるのは大谷翔平くらいのはずだ。

4月5日のゲームで、一回の投球を終えた後、通訳を交え主審に「ピッチクロック」のルールを確認する大谷翔平(写真:AP/アフロ)

「ピッチクロック」とは、投手がボールを受け取ってから走者がいない場合は15秒、走者がいる場合は20秒以内に投球動作に入らなければならないもの。違反すると1ボールとなる。また、打者は制限時間の残り8秒前までに打席に入って構えなければならない。違反すると1ストライクとなる。それで実際に三振となり、ゲームが終了した珍事まで起きている。

 このルールの目的は、試合時間の短縮にある。試合時間が長いと若い世代、それも小さな子どもたちが試合の後半には飽きてきてしまう。それが深刻な「ベースボール離れ」につながっている、という議論から導入となった。

 だが、そもそも米国人は子どもに限らず、集中力を長い時間持続させることが苦手であるように思えてならない。