(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役、法政大学大学院客員教授)
「都市鉱山」という言葉をご存じだろうか。1988年に東北大学の南條道夫教授らによって提唱されたリサイクルの概念で、都市でゴミとして廃棄される家電などの電子廃棄物から金属資源を回収し、再び製品に利用することを意味している。
電子廃棄物にはレアメタルなどの有用資源が含まれており、ゴミの山を「都市鉱山」に見立てて再利用する取り組みが進められている。
東京オリンピック・パラリンピックで、サステナブル社会を実現する取り組みとして、大会で必要な約5000個の金・銀・銅メダルを、電子廃棄物からリサイクルされた金属だけで作る「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」が行われたことは記憶に新しい。
2年のプロジェクト期間中に、全国の自治体やドコモショップから収集された8万トン近い小型家電(電子廃棄物)は認定事業者によって分解・解体されたのち、精錬業者により金・銀・銅が抽出され、造幣局でメダルへと加工された。「都市鉱山」から生まれた金は約32キログラム、銀は約3500キログラム、銅は2200キログラムにも上ったと言われている。
(参考動画)東京2020オリンピックメダルができるまで(YouTube)