高性能の747-8は次期米国大統領専用機に

 空の主役の座から降りようとしている747だが、おそらく米国の大統領専用機としては今後も相当長く運用されることは確実だ。

 日本や、米国を除くG7の国々の政府専用機は双発エンジンの航空機に取って代わられ、現在の中国の政府専用機747-400もそれほど長くは使用されないだろう。

 しかし、米国では現在の747-200Bを改造した大統領専用機「VC-25」の更新用に、3機の747-8が使用されることが決まっている。現在のVC-25の原型となる747-200Bが約40年前に製造されたことを考えると、747-8を改修した機体もかなり長い期間使用されるだろう。

米大統領専用機(通称・エアフォースワン)には747が使われている(写真:片野田斉/アフロ)

 米国が政府専用機として747-8にこだわる理由として大きいのは、4基のエンジンを搭載していることであろう。

 エンジンが4基あれば、航路上で仮に1基がトラブルを起こして使用不能になっても、残り3機のエンジンで目的地まで飛ぶことができる。その目的地が、飛行時間で10時間を超える長距離路線でも問題なく飛んでいけるのだ。

 一方、これが2基のエンジンの航空機では、1基がエンジントラブルを起こせば、すぐに最寄りの空港に緊急着陸をしなければならない。

 理由は、残されたエンジンも使えなくなると、機体はグライダー当然となり、不時着もままならない可能性があるからだ。したがって、基本的に2基(双発)エンジン機では、政府専用機としての安全が担保されていないと考えるべきだ。そもそも、政府専用機は民間航空機のように燃費などの運航コスト削減は後回しで、安全第一が基本である。