ロシア政府の代理となって「反米連合」形成へ

 カービー氏はワグネルの国際的な活動の拡大についても、北朝鮮以外に中東地域や南米のベネズエラまで広がっているとして警告を発した。

 この点について、ロシアの軍事戦略研究の専門家で元米国防情報局(DIA)分析官のレベッカ・カフラー氏は、ワグネルが活動する国の実例として北朝鮮、イラン、シリア、リビア、中央アフリカ共和国、スーダン、モザンビークなどを挙げた。これら諸国は米国の対外政策に反対する国も多く、ワグネルがロシア政府の代理のような形で、反米連合的な国際連帯の形成に努めているという趣旨の分析だった。

 カービー氏は、ワグネル代表のプリゴジン氏が米国政府に対して今回の国際犯罪組織の指定に関して「わが社がどんな犯罪を冒したのかはっきりと示してほしい」と挑戦的なメッセージを送ってきたことを明らかにした。プリゴジン氏は私的なツイッターなどで「米国は本来、国際犯罪の本家だから、これでワグネルグループと対等な犯罪組織同士になった」と米国をあざけるような発信を繰り返しており、米国に対する挑発的な姿勢を変えていない。

 米国からすれば、今回の措置は、ウクライナ戦争でのワグネルグループの役割がどんどん大きくなり、準主役に近い立場にまで拡大してきたという認識の反映だともいえそうだ。今後のウクライナ情勢の展望では、プーチン大統領およびロシア政府、ロシア軍という主要な存在に加えて、ワグネルグループの動向も精査する必要があるということだろう。