藤井は棋王戦で渡辺に挑戦

 藤井五冠は2月から始まる棋王戦五番勝負で、渡辺明棋王(38=名人と合わせて二冠)に初めて挑戦する。王将戦と並行してのタイトル戦だ。

 藤井は過去の棋王戦で目立った実績はなく、挑戦者決定トーナメントでベスト16が最高だった。今期は準決勝に進出したが、佐藤天彦九段(35)に敗れた。

 ただ棋王戦は敗者復活戦(準決勝からの敗者)がある唯一の棋戦。藤井は伊藤匠五段(20)、羽生九段を連破し、挑戦者決定2番勝負に進出した。敗者組の藤井は、勝者組の佐藤九段に2連勝が挑戦への条件。その難関を見事に打破して挑戦者になった。

渡辺にとって難敵の藤井

 渡辺棋王は、2020年の棋聖戦五番勝負で藤井七段の挑戦を受け、1勝3敗でタイトルを失った。2021年の棋聖戦では挑戦者として藤井棋聖と対戦したが、3連敗して返り討ちとなった。

 渡辺にとって、藤井は最大の難敵だ。しかし、棋王戦は2013年から10連覇している相性の良いタイトル戦。昨年の末に新型コロナウイルスに感染したので、後遺症や体力面が気にかかるが、「冬将軍」の異名(冬の季節のタイトル戦に強いという意味)どおりに奮闘するだろう。

 藤井五冠はA級順位戦で5勝1敗(1月17日時点)と好成績で、挑戦者争いに入っている。優勝すれば、4月から始まる名人戦七番勝負で渡辺名人への挑戦者になる。

 藤井五冠は2023年に、王将戦と棋王戦、さらに名人戦と続く、タイトル獲得ロードをひた走り、六冠、七冠を目指すだろう。今後のタイトル戦の勝負に注目したい。