(田丸 昇:棋士)
将棋を愛好した三英傑
戦国時代に天下統一を推し進めた三人の英傑といえば、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康である。
信長が革新的な戦略で「天下布武」を目指し、それを引き継いだ秀吉が「天下統一」を実現した後、家康が江戸幕府を開いて平和な「天下泰平」を成し遂げた。
この三英傑による歴史の流れについて、「信長が餅(もち)を搗き、秀吉が餅を丸め、家康が餅を食べた」という例え話がある。
三英傑は偶然にも現代の愛知県にあたる所で生まれた。信長と秀吉は西部の尾張国、家康は東部の三河国。
ちなみに、将棋界の若き英雄の藤井聡太五冠(竜王・王位・叡王・王将・棋聖=19)は、愛知県北部の瀬戸市で生まれた。
その藤井は三英傑の中で、「好きな武将は、チャレンジ精神がある織田信長。自分も常識にとらわれない将棋を指したい」と語ったことがある。
実は、信長、秀吉、家康の三英傑は、ともに将棋を愛好した。将棋史にも大きな影響を及ぼしていた。いろいろな故事や逸話を紹介する。