半導体などハイテク産業の復活が日本経済浮揚のカギを握る。それを支える「理系人材」。その人材争奪戦が激化するのを横目に見ながら、専門的なスキルを持たない「文系人材」はいったいどうすればいいのか。「理系人材」の重用は結構なことだが、文系人材を有効活用し、その価値を認めることも欠かせないはずだ。
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(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)
漂う昭和へのノスタルジー
「来年は新しい戦前になる」
昨年末、『徹子の部屋』に出演したタモリさんがこう発言しました。
たしかに、このところの我が国の動向を見ていると昭和への回帰が感じられます。一昨年の東京五輪、2025年の大阪万博は昭和時代の輝かしい記憶へのノスタルジーそのものです。さらに岸田政権が推進する「防衛費増大」「産めよ増やせよ」という施策にも昭和の空気を感じます。そんな気分から、次のような句が頭に浮かびました。
降る雪や 昭和は近く なりにけり
もちろん、中村草田男の「降る雪や 明治は遠く なりにけり」の名句をもじったものです。
昭和時代は戦争の暗さや悲しさがつきまとう半面、明るい希望に満ちた時期もありました。「高度経済成長期」と、昭和の終わりから平成の最初にまたがった「バブル期」です。
バブル期に実施した国の世論調査では「日常生活で悩みや不安を感じていない」と答えた国民が50%を超えていました。ちなみに、50%を超えたのは後にも先にも、この時期しかないそうです。