私立中学では「進学教育」から「グローバル教育」などへのシフトが進んでいる(写真はイメージ)

(安田 理:安田教育研究所代表)

 中学入試のシーズンに突入しているが、最近の学校選びで保護者らが注目しているのは、意外にも偏差値や大学への進学実績ばかりではない。

 いまの子どもたちが巣立つ時代は、社会、ビジネスにおいて不確実性の高い「VUCA時代」と言われる。そのため、保護者の意識も、これまでなら付属校選択を含めて「○○大学に進ませたい」と大学進学が学校選びの主要指標だったが、ここへきて大学の先、社会で働くことまでを視野に入れ、「何かスキルを身につけさせたい」という考えに変わってきている。

 それは、わが国の経済や政治、国際関係などが停滞していることを反映して、子どもの将来が厳しい環境になると認識していることの表われでもある。

 そこで、学校側の教育も「進学教育」から「グローバル教育」や「STEAM教育」「探究」「教科横断型授業」などへとシフトしている。一般の方があまりご存じないそれぞれの分野の“実力校”のケースを見ていこう。

巣鴨「最高水準のグローバルプログラム」

 巣鴨(東京・豊島区)というと、硬派な男子校のイメージを持たれている方がほとんどではないだろうか。大菩薩峠越え強歩大会、巣園流水泳学校、早朝寒稽古・・・など、心身を鍛える行事が多いことがそのイメージを作っている。しかし、近年の巣鴨はどこよりも進んだ国際教育を行っている。

巣鴨中学校の正門

 2022年7月24日~28日の5日間、「Double Helix(ダブル・ヒーリックス:二重螺旋):Translational Medicine(様々な学びや経験を実際の医療につなげる)」というプログラムが巣鴨を主催校として開催された。過去2回はコロナ禍のためオンラインだったが、今回初めて対面で実施された。

 イギリスから4名の医師・研究者を招聘し、将来医療従事者を目指す7校(市川、鴎友学園女子、駒場東邦、洗足学園、南山女子部、広尾学園)の生徒48名が参加した。ちなみに、イギリス人講師は全員がオックスフォード大学、ケンブリッジ大学で修士ないし博士課程修了者。いずれも社会の最前線で活躍しているという最高の知的階層である。

 同プログラムは各講師の専門に合わせ、「チームワーク」「免疫学」「医療倫理」「世界の健康と医療格差」の4つのテーマについて、講義、ディスカッション、ペアワーク、プレゼンテーションなどすべてが英語で行われた。