もっと優れた対ミサイルシステムがもっと大量に必要だ。

 まもなく提供されると見られる米国の地対空ミサイルシステム「パトリオット」は非常に大きな援軍となるが、パトリオットの使用についてウクライナ兵を訓練するには時間がかかり、そもそも何カ月も前に提供されているべきものだった。

戦後繁栄するために欠かせない領土奪還

 ウクライナがこの紛争を乗り越えて民主主義国として繁栄するためには、空の守りでさえ十分ではない。領土をもっと奪い返す必要もある。

 ロシア軍が今年に入って奪ったのはウクライナの黒海沿岸のごく一部だが、それでもウクライナが支配するすべての大きな港からの貨物の積み出しを妨害するには十分近いところまで迫っている。

 国連との取り決めに沿って行われた一定量の穀物輸出を除けば、ウクライナからの輸出はほぼ止まった状態が続いている。

 ウクライナが領土をさらに奪い返すことは、凍結された紛争になるのを回避することにも役立つ。プーチン氏が以前奪った領土までも失うリスクを冒していることが明らかになるからだ。

 今日の境界では、ロシアが併合したクリミアとロシア本土とを結ぶ陸橋がロシアの支配下に置かれ、クリミアに物資を送ったりウクライナ南部を脅かしたりすることが可能になる。

 対照的に、もしウクライナがこの陸橋を断ち切ってアゾフ海北岸を奪回すれば、強い立場で交渉できるようになり、クリミアすら射程内に収めることができる。

 こうすることで、プーチン氏はただ単に数年後に再度攻撃を仕掛けることで勝利を収められるというロシア国内の見方の信憑性を落とせるはずだ。

 ウクライナは今でも、戦闘の継続に必要な犠牲をいとわない。

 ゼレンスキー大統領は「国民の95%か96%は領土すべてを占領状態から解き放ちたいと思っている」と本誌に語った。

 今年奪われた領土に加え、2014年に奪われた土地すべてもロシアから取り戻したいということだ。