もしウクライナが戦闘を今日停止しようとしたら、戦線は現状のまま凍結され、ロシアは次の攻撃の準備をしっかり進められるようになる。

 プーチン氏の配下の将軍たちは、新たに動員した兵士の訓練・実戦配備や、戦争への取り組みの一助としての工業再編成のプログラムを着々と推進している。ウクライナの司令官たちに言わせれば、ここには砲弾を作ることも含まれる。

 戦線凍結は2022年2月24日の侵攻開始に至るまでの3年間の過ちを繰り返すことになる。

 3年の間、プーチン氏は西側の指導者と延々と話をし、西側の指導者も話し合いに応じ、その間にもずっとロシア軍に侵攻の準備をさせていた。

ロシアの反転攻勢を失敗させる責任

 西側にとって最も重要な責任は、ロシアの反転攻勢を確実に失敗させることだ。そのためには、武器の供給を早急に増やさねばならない。

 ウクライナは米国から供給された高機動ロケット砲システム「ハイマース」を6月から使用しており、ロシアの弾薬庫や指揮統制施設に壊滅的な被害を与え、まず北東部、次に南部で急速な進軍を成し遂げられた。

 だが、ロシアはそうした標的の多くをウクライナのハイマースの射程外に移動させている。

 そのためウクライナにはもっと強力な兵器、例えば少なくともハイマースの2倍の射程がある陸軍戦術ミサイルシステム「ATACMS(エイタクムス)」のような兵器が多数必要だ。

 このほかにも通常弾頭やあらゆる種類の砲弾、さらには戦車やヘリコプターなども必要になる。

 ロシアはウクライナの民生用電力網、水道システム、暖房システムを攻撃しており、ウクライナはその撃退においても支援を必要としている。

 これらの攻撃の目的はウクライナ経済の破壊であると同時に、自宅に残してきた家族が心配な前線のウクライナ兵たちの士気をくじくことにある。

 ザルジニー大将が説明しているように、ウクライナの既存の防衛システム(大半は旧ソビエト連邦時代の対空火器で、現在は対ミサイル砲に転用されている)に用いる砲弾の蓄えは少なくなっている。