韓国のトラック運転手によるストライキ(12月3日撮影、ソウルで、写真:AP/アフロ)

 2022年12月9日、韓国の貨物運転手などで構成する貨物連帯が、メンバーの投票の結果、「運送スト」を撤回することを決めた。

 これまで、韓国で最強硬の「労組」として恐れられていたこの団体が、政府の圧迫に一方的に屈服する形になったのは「おそらく初めて」(韓国紙デスク)で、驚きの声が上がっている。

「原則が勝った、貨物連帯16日ぶりに白旗」(朝鮮日報)

歴史的な「白旗」

 韓国の大手紙、経済紙は12月10日、1面トップでほぼ同じような見出しを掲げてこのニュースを報じた。

「韓国の労使問題を考えるうえで歴史的なできごとだ」

 韓国紙デスクは、12月9日、こう話した。

 貨物連帯はこの日、全国で「組合員投票」を実施し、「スト」を撤回して職務に復帰することを62%の賛成で決めた。

「あの貨物連帯が、政府の圧迫で腰砕けになるなど、考えられなかった」という。

 貨物連帯とは何か。今回の問題は何だったのか?

 そもそも、貨物連帯という組織が何か?から政府との対立は始まっている。

 貨物連帯は、正式名称が「全国民主労働組合総連盟(民主労総)公共運送労組貨物連帯」だ。

 全国で2万人以上のトラック運転手がメンバーで、韓国の強硬派ナショナルセンター、民主労総の中でも最強硬派の組織として知られる。