(岡村進:人財育成コンサルタント・人財アジア代表取締役)

 いよいよ日本の没落が明らかになってきた。

 アメリカの物価高に加えて円安影響でNYのホッケ定食はいまや5000円だ。

 アジアに旅行したら一流ホテルに泊まっても安いと思えたのは遠い昔の話で、いまは少し質素なホテルで我慢する。レストランでは、地元の人が景気よく料理を頼むのを横目で見る感じで、いままさに、一度は栄えた日本が貧乏国に転落しつつある。

日本をダメにする「忖度」、再興させる「気配り」

 かつて日本を愛してくれたシンガポールのリー・クアンユー元首相が、生前にこう語ったことを皆さんはご存知か。

「多くの国は自国の問題の解決方法が見つからない問題を抱えている。日本は、解決方法が分かっているのに、誰も行動しようとしないという他国とは異なる問題を抱えている。考えようによっては、日本の問題の方がもっと根深いのかもしれない」

 そう、今の日本の没落なんてものは実は何十年も前から分かっていたことだ。それを解決に導けない日本社会は、強烈なる“金縛り”にあっているとしか思えない。

 その金縛りの正体はなにか。筆者は「忖度」だと結論付けている。