動画配信サービスは最優先課題だが・・・
米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーは、2020年まで約15年間にわたり同社を率いたロバート・アイガー氏(71)が最高経営責任者(CEO)に復帰したと発表した。
ディズニーは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのあおりを受けた景気減速や動画配信をめぐる競争の激化などの逆風を受けて、八方ふさがり状態に陥っている。
アイガー氏の後釜だったボブ・チャペック氏(61)では手に負えなくなり、「中興の祖」の再降臨と言える。
アイガー氏はずば抜けた経営手腕で知られている。同氏は、20005年にCEOに就任。2006年にはスティーブ・ジョブズ氏からアニメ制作のピクサー・アニメーション・スタジオを買収。
2009年にはケビン・ファイギ氏から娯楽大手のマーベル・エンターテインメントを買収。2012年にはジョージ・ルーカス氏からルーカスフィルム(「スター・ウォーズ」)を買収。
2019年には自社制作の劇場映画、買収した各社制作の映画・動画を一括配信サービスする「ディズニー+(プラス)」をスタートさせた。
「ディズニー+」の今年9月末の会員数は1億6420万人だ。
ところが、事業規模は拡大したものの、これを受け継いだチャペックCEOの下で、宣伝費や制作費が利益を圧迫した。7~9月期の動画配信事業は、大幅な赤字に転じてしまった。
「最大の敵」は、米ネットフリックスや米アマゾン・ドット・コムなどの新興勢力の追い上げだ。
アイガー氏にとって急務なのが、こうした動画配信サービスをどう立て直すかだ。就任と同時に動画配信部門の幹部を解雇するなど、人心一新を図った。
アイガー氏の「降臨」にウォール街は好感、11月21日のニューヨーク証券取引所のディズニー株価は9.9%急上昇した。