懲役13年の実刑判決を受けたクリス・ウー氏(2019年8月5日撮影、写真:アフロ)

25年前に遡ってレイプ提訴可能に

 中国の裁判所は、韓国の男性アイドルグループ「EXO(エクソ)」元メンバーで、中国系カナダ人呉亦凡(ウー・イーファン=芸名クリス・ウー)被告(32)に性的暴行罪で懲役13年の実刑判決を下した。

 呉被告は2020年11月から12月、酒に酔って抵抗できなくなった女性3人に性的暴行を加えて実刑判決を受けたほか、複数の関連企業を通じて脱税を行っていたとして、6億元(約120億円)の罰金が科せられた。

 カナダは自国民の保護には最大限の努力をする国だが、今回ばかりは手の施しようがない。カナダでも性的暴行罪は1年から10年の禁固刑に処される。

 呉は米国に在住(米加の二重国籍者)、全米でも人気者だ。それだけに呉に対する中国裁判所の判決は大きく報じられた。

 中国が国外追放すれば、ハリウッドやブロードウェイに逃げ果(おお)せるはず、と呉が思ったかどうか。

 だがニューヨークの「成人犠牲者法」(Adult Survivors Act)は11月24日からスタート。ニューヨークの「性的虐待・隠蔽に関する責任義務法 」(Sexual Abuse and Cover Up Accountability Act)は2023年1月1日から施行される。中国より厳しくなったのだ。

 これまで殺人罪以外は時効10年だったカリフォルニア州でも11月24日から性的暴行罪には時効がなくなったのだ。

 被害者が性的暴行を受けた時点で、18歳以上で時効が成立している場合でも、提訴できることになったのだ。提訴申請は2023年11月までだ。

 つまり、何十年前であっても性的暴行を受けた人は名乗り上げよ、というわけだ。

 ニューヨーク州は、2019年に「子供虐待法」(Child Victim Act)を施行した。同法では時効を外した。

(同法が施行されるや、教師、医師、牧師・神父と所属していた学校、病院、宗教団体など約1万1000件が提訴された)

 今回の「成人犠牲者法」はこの「子供虐待法」をモデルに時効を取り除いたものだった。