中国・四川省にある西昌衛星発射センターから打ち上げられた「北斗3号」(2020年6月23日、写真:新華社/アフロ)

(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員、元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 報道によれば、英国政府通信本部(GCHQ)のフレミング長官は10月11日に英国王立防衛安全保障研究所で行った講演において、「中国指導部は、国民を支援したり潜在能力を引き出すよりも、支配下に置く機会を模索しており、諸外国を潜在的な敵対国か従属国かのどちらかと見なし、脅迫や賄賂、強要の対象としている」と指摘した。

 また、「中国指導部は自国民、言論の自由、自由貿易、技術標準化などの要素のほか、開かれた民主的秩序やルールに基づく国際的体制への恐怖に駆られ、その恐怖心と強い国力が相まって、我々全員にとって大きな脅威となり得る行動に駆り立てられている」と論じた。

 さらに、「デジタル通貨の開発は利用者の取引を監視し、ロシアが直面しているような制裁を逃れる狙いがある」とし、「GPSの北斗については、紛争が起きた場合に他国の宇宙へのアクセスを拒否するため、強力な衛星攻撃能力を構築しているというのが多くの人の見方だ」と指摘する。

 このフレミング長官の発言にある「デジタル通貨」「衛星利用測位システム(「北斗」)」は、中国の技術覇権の中でも重要な地位を占めており、いずれ西側諸国にとって重大な脅威となり得るものだ。筆者は、これらに加えて、「量子コンピューター」も中国が先進的に独占するようなことがあれば、大きな脅威となることを指摘したい。