米国の「MQ-9」(撮影:2019年7月15日、米空軍のサイトより)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、クリミア橋で起きた爆発に対する報復として、10月10日、首都キーウを含むウクライナ全土の複数の都市に対し、ミサイルやドローンによる爆撃を行った。

 ウクライナ政府は17日、首都キーウ中心部の住宅街などがロシア軍のイラン製ドローン「シャヒド136」による攻撃を受けたと発表した。

「シャヒド136」は翼長約2.5メートル、飛行距離数百~数千キロ、弾頭30~50キロ、時速120~180キロで低空を飛行するプロペラ型の無人機である。

 ウクライナのポドリャク大統領府顧問は10月17日、イランが2400機のドローンとイラン革命防衛隊から指導者を送り込んでいると自身のSNSで主張した。

 さて、国連安全保障理事会は10月21日、ウクライナ情勢を協議する公開会合を開いた。

 欧米の理事国はロシアによる攻撃にイラン製無人機が使われていると指摘した上で、イランからロシアへの無人機供与はイラン核合意を承認した安保理決議に違反していると改めて主張し、国連に現地調査を要求した。

 無人機は、軍事技術上の「革新的なゲームチェンジャー」と称される。

 パイロットのいる有人機と比べて大きなメリットがあり、将来の戦争のあり方を劇的に変革する可能性を秘めている。

 アゼルバイジャンがアルメニアとの領土紛争で勝利したのは、トルコ製の無人機を大量に使用したためだとも評される。「ゲームチェンジャー」と呼ばれるゆえんである。

 中国は、偵察・攻撃型無人機を日本の南西諸島周辺で飛行させているほか、数百機の小型無人機による「群衆飛行」の技術を進展させている。

 ところで、日本は、無人機の分野で諸外国に大幅に立ち遅れている。

 自衛隊が保有する無人機は現在、米国製の大型偵察機「グローバルホーク」などに限られる。

 政府・防衛省が長年、無人機への取り組みをあまり重視してこなかったからである。その理由などについては別の機会に述べてみたい。

 さて、本稿では、連日テレビなどで見聞きするドローン攻撃への対処法について述べてみたい。

 初めに、無人機の概観(定義・種類・特徴)について述べ、次にドローンの急速な拡大とその背景について述べ、次にサイバー戦の特殊な例であるイランのサイバーハイジャックの事例について述べ、最後に日本におけるドローン攻撃への対処法について述べる。