調査機関「南都民調」の独身の日セールに関する調査(「双11有购物意愿受访者较前两年降两成,七成预算五千元内」、https://view.inews.qq.com/a/20221028A03PLG00)でも、その変化が見て取れます。2021年までは8割以上の人が、独身の日セールに参加すると答えていました。ところが2022年はそれが2割も減少し、参加しないという人が大幅に増えました。筆者の周囲でも、今年は独身の日の消費を控えるという意見が多く、少し驚きました。消費意欲がこれまでに比べて鈍化しているようです。

独身の日への参加意向(2020~2022年)

 同調査によると、独身の日に商品を買うかどうかを決める要因としては、一番が「自分が必要としているか」(55.0%)でした。それに「個人的な経済力」(48.5%)、「商品の割引」(47.8%)と続きます。

 すぐに必要ではないものまでを購入し買いだめをしていくような熱狂は醒め、合理的な消費が行われ始めたと考えられます。独身の日セールの初日10月31日には、返品を意味する「退款」が、当日の検索ワード1位になったようです。

「消費」に対する意識が変化し始めた

 独身の日の成長の陰りには、その背景として最近の中国経済の苦戦があることは間違いないでしょう。でも、消費そのものへの考え方が変わりつつあることも要因として考えられます。

 中国には古くから「薅羊毛(ハオヤンマオ)」という言葉があります。現在では本来の意味から変わり、「クーポンや割引サービスを徹底的に利用する」という意味で使われています。

 これまで羽振りの良さをアピールしたり、メンツを保つために消費を行っていた中国の若者たちにも、「ハオヤンマオ」が浸透してきているようです。コミュニティサイトやチャットグループなどでは、いかに無料で買い物をするかという情報が飛び交っています。企業もこの動きを無視できず、ハオヤンマオを商品の宣伝に使わざるを得なくなっています。

いかにハオヤンマオを実行するかのノウハウがチャットグループでやり取りされている