公営小売店「供銷社」は計画経済時代の名残だった
もう一つ、消費市場における大きな動向が、「供銷社(キョウショウシャ)」の再建です。供銷社(合作供銷社)を簡単に言うと「国の政策で運営されている小売店」です。衰退していくと思われていた供銷社が、このところ存在感を増しているのです。
1980年代以前、中国国内ではほとんどの経済活動が国家の規制下に置かれていて、国家が農産物や生産物を買い取っていました。食料品、衣服、生活用品などの商品の販売窓口となっていたのが、国が運営する供銷社です。そのころの供銷社は、現在のコンビニやスーパーマーケットのような存在だったのです。
計画経済の元で作られた供銷社では、1980年代以前、商品の購入に専用の購入券(肉類の購入には肉票、野菜類の購入には菜票)が代金以外に必要でした。さらに販売されているのは計画経済によって生産を割り当てられた商品で、消費者が求めているものとの間にはズレもありました。
1990年代以降、経済の自由化が進むと、供銷社は民間企業と競争することになり、供銷社は縮小の道をたどりました。地域によっては1980年代に比べ店舗数が6割以上減少しました。このため供銷社は、農村や地方の都市(県城)などが事業の中心になっていきました。
このため、都市部での存在感はあまりなかったようです。筆者はこれまで広東省と上海で7年以上生活していますが、ほとんど見かけた記憶がありません。