再び注目を集め始めた供銷社
ところが最近になって、供銷社が再び注目を集め始めています。2022年10月の記事「湖北基层供销社恢复重建至1373个 基本覆盖全省乡镇,农民社员5年增5倍」(https://new.qq.com/rain/a/20221017A078SN00)などをはじめ、現在多くの中国メディアが、供銷社の現状や今後の展望についての記事を掲載しています。
2000年代以降、供銷社は従来の経営モデルの見直しに加えて、民間資本の導入などを進めていました。現在の供銷社は、農産品や綿花を使った製品の製造企業、ネット販売を推進する流通企業、金融商品を取り扱う企業などをグループ内に置いています。
「中华全国供销合作总社:2021年实现销售总额6.26万亿元 同比增长18.9%」(2022年1月21日、http://finance.people.com.cn/n1/2022/0121/c1004-32337051.html)の記事では、全国の供銷社の2021年総売上が6兆元以上、前年比18.9%増だった、としています。すべての供銷社を合計すれば、なかなかの売上規模なのです。
供銷社については、さまざまな見方があるようです。筆者の周囲では、「大資本の成長で寡占が進むなか、消費者に選択肢が増える」といった肯定的な意見のほか、「普通のスーパーと同じなのであまり選択肢の変化がなさそう」という意見もありました。メディアの記事では「計画経済への逆行ではなく、市場経済の競争の下で、供銷社は運営されていくだろう」という論調が主流を占めているように見えます。
供銷社は、直接農家から農産物を直接買い付け、消費者への販売までを一手に行う「統銷」という概念が基本になっています。一方、現在の消費市場は、デジタルプラットフォームを利用した販売が大きな比重を占めるようになっています。
前述したように、「消費」に対する意識が変化し始めているなかで、注目され始めた供銷社が消費市場でどのような役割を果たしていくか、注目していきたいと思います。