7.苦悩と自信喪失が表情に滲む
プーチン氏は、大統領として登場し、ソ連邦崩壊後の混乱を立て直した。ロシア国民の期待に応え、自信満々であった。
他国の首脳と会談する時には、無表情に見下してきた。習近平氏とプーチン氏は、米国と対立する2大巨頭であった。
ウクライナ侵攻でも、1か月ほどで征服し、ウクライナを支配下におけると信じて決断したのだろう。
それが、米欧から支援を受けたウクライナに止められ、キーウやハルキウでは敗北を喫している。これからも、犠牲を払った分の成果を得ることはできない。
ロシアは、欧米から経済制裁され、国際社会からの評価も地に落ち、三流国家に成り下がろうとしている。
この責任は誰にあるのか。もちろんプーチン氏一人にある。
上海協力機構の構成国からも、反対を示す無言の態度を取られた。
インドの首相には、「戦争している場合ではないと思う」と苦言を呈された。
これまで連邦構成国に軍を配置して抑えてきたが、その軍部隊を抜いてウクライナに転用したために、その抑えも効かなくなってきている。
軍作戦の失敗は、プーチン氏の責任ではなく、軍参謀本部や国防省の責任である。
だが、軍から報告を受けて決断したのはプーチン氏でありその責任は彼にある。軍の実力を見抜けなかった失敗である。
自分の初めての失敗を悔やみ、ロシアの明るい将来が見えないことが、プーチン氏の心にダメージを与えているのだろう。
ポーランドの首相も同様のことを感じており、9月24日、「プーチン大統領は、追い詰められている」とも語っている。
30万人の予備役兵を集めても、数だけ揃えても、戦う意思がない兵では、勝利することは難しい。
これから、国内暴動も起こるだろう。モスクワでは抑えられても、広大な国土の地方を抑えることは難しい。
ウクライナの戦いで敗北し続ければ、プーチン氏の表情は、さらに暗くなるだろう。
彼を追い詰めれば、失脚する可能性が出てくる。ただ、失脚を恐れ、破れかぶれの打開策で、核兵器を使用することには警戒が必要だ。