欧州統合プロジェクトを維持する重責
危険はまだ潜んでいる。
トルコ、あるいは2度目のトランプ政権がNATOから「離脱」する可能性がある。
そうなった場合、NATOで2番目の規模を誇るが軍事的に最も力不足の加盟国として、ドイツははるかに厄介な安保上の課題に直面する。
防衛費の増額は、大きなリスクにさらされているNATO周縁国の防衛に向かない、弱気で官僚化されたドイツ軍の抜本改革の最初の一歩でなければならない。
ドイツは賢明に、かつ一貫して、自国の関心事の中心に「欧州」を据えてきた。
だが、ポーランドとハンガリー、そして潜在的にイタリアの新たな右派政権が欧州連合(EU)に突き付ける政治的な課題に直面し、ドイツは欧州統合プロジェクトを維持するうえで極めて重要な役割を担う。
これについて、また単一市場の深化といった問題については、ショルツ氏は後部座席から降り、運転席に陣取るべきだ。
試金石となるウクライナへの関与
だが、最大の危険はこの瞬間が失われ、ドイツが再び慎重な態度と静止状態に陥ることだ。包括的な変革には何年もの時間がかかり、ショルツ氏は特に人気が高くない。
ウクライナはドイツの気骨を試す初期の試金石となる。
プーチン氏に対するショルツ氏の厳しい態度は今も大半のドイツ国民を納得させているが、支持は衰えつつあり、戦争のコストはまだ暖房費に影響していない。
もしドイツがウクライナを見捨てるようなことがあれば、ウクライナ人だけでなくドイツ人にとっても悲劇だ。
これは大陸の未来をめぐる紛争だ。
ドイツにとっては、欧州のど真ん中でその地位を改めて築く機会でもある。