決意さえあれば解決策はある

 十分な決意があれば、ほかの問題にも解決策がある。

 今年の中核予算は前年比で横ばいだが、ショルツ氏は防衛費を3割強増額することを誓った。新たな歳出は、大々的な装備アップグレードを賄う。

 外交問題に対してもより現実的なアプローチを約束し、旧来の平和主義のタブーを破ってウクライナに大型兵器を送った。

 また、ショルツ氏率いる政府は対中関係の徹底評価に乗り出しており、まもなく国家安全保障戦略を打ち出す。

 これが自国の戦略地政学的な目標を描くドイツ初の試みであることは、多くを物語る。

 自国産業のデジタル化と環境対策を進め、ハイエンドのサービスを産業構成に加えるのは、もっと難しい課題だ。

 ミッテルシュタントと呼ばれる無数のドイツ中小企業がデジタル化の課題に真っ向から取り組めば、今後もドイツ経済の屋台骨であり続けるだろう。

 幸い、企業経営者とショルツ氏の政府はともに、実際的に見える。

 より多くの熟練労働者をドイツに呼び込むために、移民規則が調整されている。ドイツは国内のみならず欧州でも、以前より赤字支出に前向きになっている。

 欧州との強固な関係もドイツの利点だ。

 こうした関係は、時折手に負えない相手になる米国を含め、ドイツが何十年もかけて同盟関係を育んできた結果だ。

 企業がサプライチェーンを強固にする方法を模索するなかで、将来、信頼できるドイツは魅力的な投資先になるだろう。